栄冠は君に輝く
《栄冠は君に輝く》 夏の甲子園の大会歌だ。
勝利者が校歌を歌う以上に、戦う両チームでもっとこの歌を歌ったらいい。
歌ってみればすぐわかる。この歌には、本来の高校野球の目的、姿勢が見事に込められ、表現されている。それは中学野球にも、少年野球にも通じる。
1948年、学制改革で「全国中等学校優勝野球大会」が「全国高等学校野球選手権大会」に変わった。ちょうど30回の節目も記念して、主催の朝日新聞が全国から歌詞を公募した。この歌詞は、応募総数5252編の中から選ばれた作品だという。だから、作曲の古関裕而は著名だが、作詞の加賀大介を知る人は少ないだろう。
加賀は故郷の石川県根上町(現・能美市)で執筆活動をしていた文筆家。野球少年だったが、試合中のケガが原因で骨髄炎になり、右足を切断し、野球をあきらめた辛い経験の持ち主だった。
加賀大介の野球への「永遠の思い」が、この歌に普遍の魂を注ぎ込んだかのように感じる。
この歌を声に出して歌うと、いつ歌っても、あふれる涙を抑えることができない。野球ができる喜びを、身体の芯から思い起こすからだ。
奇しくも、加賀が卒業した能美市立浜小学校から、後に甲子園の星、メジャーリーグの星ともなる松井秀喜が巣立っている。
僕たち東京武蔵野シニアは、この歌《栄冠は君に輝く》をチームの歌として、先輩を高校に送り出すとき、大切な交流試合のお礼に、また大会に優勝した後にみんなで合唱する。