新刊 《生きて還る》 出版!
監督・小林信也の新刊が10月5日に全国の書店、およびアマゾンなどのネットショップで発売されます。プロ野球で史上二人目の完全試合を達成した武智文雄投手(近鉄パールス)の人生を描く物語です。
武智文雄(旧姓田中)は、甲子園出場を志し、当時すでに日本一にも輝いていた強豪・岐阜商に進学します。ところが、二年夏の甲子園大会が中止になります。国際情勢が悪化し、日本は戦争へと進む世相にありました。もう野球はできない、文雄は野球をあきらめ、予科練を志願します。時をほぼ同じくして、太平洋戦争に突入します。文雄は神風特攻隊員を経て、桜花特攻隊員となります。爆弾を携えて、敵の戦艦に空から飛び込む決死の任務です。
国のために命を捨てる。僕らには想像もつかない、苛烈な運命を突きつけられ、文雄は訓練の日々を生きます。
出撃命令を受け、死を覚悟して飛び立った日、天候不良で不時着。顔にケガを負いながら、九死に一生を得た。
文雄は不思議な運命に導かれ、生きて終戦を迎え、故郷に復員します。やがて野球に戻る機会を与えられ、社会人野球からプロ野球に入って活躍します。
一度はあきらめた野球が、文雄の手を引いて迎え入れてくれた。
いまでいう高校野球の三年間、武智文雄はほとんど野球から離れ、ボールを握っていませんでした。
私・小林信也は、武智文雄のお嬢さんとの出会いをきっかけに、この物語を書くことになりました。武智文雄の人生をたどり、戦争を、野球を、改めて深く見つめ直す機会をもらった気がします。
これは、野球と人生と日本社会を描いた物語です。どうぞご購読ください。
《生きて還る 完全試合投手となった特攻帰還兵 武智文雄》
集英社インターナショナル刊 1600円+税