野球の力 ぼくらはなぜ野球をするか
43年前の今日(10月14日)、長嶋茂雄が引退した。僕は高校3年生だった。野球に疲れ、大学で続ける気はもう一切なかった。 学校から急いで帰り、テレビにかじりついた僕の目に飛び込んできたのは、ハンカチを顔に押しつけ、苦しそうに顔をゆがめてグラウンドを一周する長嶋だった。長嶋が...
FRISBEE スピリット
表紙の顔は外国人ですが、イラストのモデルは監督です(笑) 僕が他の野球チームの監督と少し違うのは、元々の性格に加えて、フリスビーの経験が大きいと思う。大学時代、人気雑誌《ポパイ》で連載コラムを書かせてもらっていた僕は世間から「フリスビーの小林クン」と呼ばれていた。...
栄冠は君に輝く
《栄冠は君に輝く》 夏の甲子園の大会歌だ。 勝利者が校歌を歌う以上に、戦う両チームでもっとこの歌を歌ったらいい。 歌ってみればすぐわかる。この歌には、本来の高校野球の目的、姿勢が見事に込められ、表現されている。それは中学野球にも、少年野球にも通じる。...
みにくいアヒルの子
二人の子どもを持って、いまの日本がいかに素直に生きづらいか、痛いほど感じるようになった。人と同じに生きる……、世間が正しいとする常識の枠で生きないと、面倒くさい摩擦がたくさん起こる。学校では先生に疎まれ、行動を規制される。集団生活に馴染めない子ども(人間)は、失格者の烙印さ...
「空しさ」に悩んだ 野球少年
小学生、中学生のころ、僕のいちばんの悩みは「空しさ」だった。 時々、言葉に表しようのない脱力感、無力感に襲われ、切なくてたまらなくなる。昨日も今日も明日も見えなくて、生きている時間が止まるというか混乱して、ただ普通に呼吸し、淡々と未来に向かっていく自分が思い描けない。 ...
新刊 《生きて還る》 出版!
監督・小林信也の新刊が10月5日に全国の書店、およびアマゾンなどのネットショップで発売されます。プロ野球で史上二人目の完全試合を達成した武智文雄投手(近鉄パールス)の人生を描く物語です。 武智文雄(旧姓田中)は、甲子園出場を志し、当時すでに日本一にも輝いていた強豪・岐阜商に...
必ず花が咲く確信
東京武蔵野シニアは、しばらく公式戦の勝利から遠ざかっています。 勝ちたいけれど勝てない。悔しい、残念です。だけど、あまり悲観していません。 なぜなら、選手ひとりひとりは、「確かに成長している」からです。 勝ち負けを基準にしたら、勝てなければダメ、「成果がない」となってしまい...
甲子園の幻
「甲子園に出たい!」 それはもう、理屈抜きの憧れです。 わが子がもし「高校生になったら、野球部に入って甲子園に出たい」 夢を描く野球少年に育ったら、そして親としてその可能性があると感じたら、 できるだけ応援したい、夢を叶えてあげたい、そう願うのは当然でしょう。...
野球の目的
公認 野球規則(ルールブック)を開くと、いちばん最初に《試合の目的》とあり、 「一・〇二 各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする」 と記されている。 ところが、「得点」とは何か? 野球の根幹になる核心については、そこから58ページもの間、まった...